コーダ☆マインド

耳の聞こえない親を持つ聞こえるシオンが考える、コーダのことや手話のこと。

コーダの私が手話通訳者になるまで その1

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はじめに

今回はわたくしシオンが手話通訳者になるまでのお話。
過去を振り返り、記憶をたどって書いてみました。
思い返せば、必死でがんばってきた自分がいたんですよね。
長い道のりだったように思いますが、過去があったから現在の私がいます。
ちなみに、「私が手話通訳者になりたかった理由」はまた別の記事で書きたいと思っていますが、そちらは正直悩み中……
(あまりにもあまりにだから、セキララに語れない…(汗))

ポイントになる部分はこのあたりでしょうか。

  • 手話通訳者になるまでの期間
  • 手話通訳者になるまでに必要だった学び
  • 重要なできごと

 書けるところから書いていきますね。

聴覚障害者情報提供施設

「手話通訳者になるための勉強を始めよう!」

思い立った私は、まず聴覚障害者情報提供施設へ行き、担当者に尋ねました。
「手話通訳者になるにはどうしたらいいですか?」と。
聴覚障害者情報提供施設は各都道府県にある施設で、各地域で呼び名が違いますのでご注意ください)
すると、「手話奉仕員養成講習会に通ってください」と紹介されました。
市町村で実施されている講習会です。
私は、その当時の勤務先と家のちょうど中間にある市町村で開催されている講習会に通うことにしました。
通常であれば、「住んでいる市町村」か「勤務地の市町村」のように条件が付いているかと思います(私はそのどちらでもなかったけど通えました)。
申込先は社会福祉協議会でしたので、そちらへ直接出向き、申し込みしました。

ポイント ▶ 手話通訳者や聞こえない人に関することは聴覚障害者情報提供施設で聞く!

手話奉仕員養成講座

「奉仕員養成」と呼ばれるものです。
こちらは手話通訳者になるための講座ではありません。
「楽しく手話を学ぶ」「日常会話程度の手話の習得」「聴覚障害者への理解促進」のための講座だと私は認識していましたが、詳細はお住まいの地域の広報誌や社協だよりに掲載されているかと思いますのでそちらをご覧ください(ホームページにも記載されているといいのですが、あんまり詳しくは載ってないかも…)。

私は手話通訳者になることを目指していたのですが、県の主催する「手話通訳者養成講座」を受講するためにはまずこちらを受講修了している必要があると聞いたので、素直に「奉仕員養成」に通うことにしました。
あとあと知ったのですが、「奉仕員養成講座修了と同等の手話レベル」があれば「通訳養成講座」は受講することができたとかできなかったとか。
それを知った当時の私は、楽して早く通訳者になりたかったので、
「コーダの私は他の人よりは手話ができるんだから、奉仕員養成なんて通わなくて良かったんじゃないの?」
とひどいことを思っていました。
はい、浅はかです。ごめんなさい。無知ってコワイ。

実際に「通訳養成講座」に通っている時、「奉仕員養成講座」を受講したことが無いという人もちらほらいました。
あくまでも私の見た感じですけれども、そういった方々は講座の途中から姿を見なくなることがほとんどでした。
「通訳養成講座」の中でも基礎は何度も出てきますので、基礎が分かっていないと厳しくなります。
文法や技法をこれでもかというくらい「奉仕員養成講座」でやってきている人と(できるできないは別ですが)、「そんなの知らない…」と自分の感覚だけで手話をやってきた人では差が出ます。
「自分は手話ができる」と感覚的にやってきた人は、このあたりで壁にぶち当たるのではないかと見ていて感じました。
そして、今更基礎には戻れないわけです。
「奉仕員養成講座」のことを「レベルが低い」と言う人がいますが、私は基礎はとても重要だと考えています。
「奉仕員養成講座」を開催するのにも、苦労してくださっている人たちがいます。
予算もかけられています。
先人たちの想いが形となって「奉仕員養成講座」が開催されています。
その方々の労力を考えると、「奉仕員養成講座」は本当にありがたいと思っています。
私は基礎をきっちり学ぶことができて本当に良かったと思っています。

1年目 ▶ 「奉仕員養成講座」で基礎を学ぶ!

私のときは定員オーバーにもならず、すんなり受講できましたが、地域によってはなかなか受講すらできないと聞きます。
こういう時、田舎はある意味有利なんですかね……。
ちなみに年度の途中からの受講はできませんので、申し込み期限にはお気を付けください。
3月くらいから募集が始まるのかと思いますが、気になる方はお住まいの地域の社協にお問い合わせしてみるのをオススメします。
せっかく手話を学びたいと思っても、「手話奉仕員養成講座」は通常4月か5月くらいから2月までの、毎週1回の夜(1時間半程度)開催となっているところがほとんどです。
期間は1年間の長丁場です。
受講料は無料でした。テキスト代のみかかります。
大雪の日も通ったことを私は忘れません。
全体の70%を受講すると、修了証書が貰えます。
手話ができるようになったかならないかは、かなりの個人差がついたままの修了となります。

ポイント ▶ 「手話奉仕員養成講座」に1年間通って修了証書をもらう。

私は両親がろう者ですので手話自体にはなんの抵抗も無く、正直、「簡単だなぁ」と思いながら学ぶこともしばしばありました。
ですが、ジグソーパズルのバラバラのピースのような手話の覚え方をしていることが、この時によく分かりました。
コーダの私はそのジグソーパズルを埋めるために「奉仕員養成講座」へ通っていました(聞こえる人と明らかに違う目的です)。
簡単な手話単語もたくさん知らなくて、「両親がろう者なのに、私は手話をこんなに知らないんだ!」と何度もショックを受けつつも、手話を学べる楽しさを地域の方たちと一緒に味わいました。
手話を学ぶことが本当に楽しかった時期でした。
みなさんとよく一緒に笑ったのを覚えています。

(そういえば、この頃の私はまだ「コーダ」ということばを知りませんでした)

「奉仕員養成講座」に通って良かったと思うことは他にもありました。
手話通訳者になる上で大切なことのひとつだと思います。

ポイント ▶ 人前で手話をすることに慣れる!

家で親と手話をするのとは訳が違いました。
ものすごい緊張感が襲ってくるのです。
人に伝わるように手話をすることをしっかり意識しなければいけないということを、「奉仕員養成講座」のときから気をつけるようになりました。

あれっ?ここからが長いのに、そしてまだまだ大事なことはあるのに。
ずいぶん長くなってしまいましたので、何回かに分けて書く必要がありますね。

ではつづきはまた今度。

<この記事は2020年6月に書いたものを編集しています>

codamind.hatenablog.jp