コーダ☆マインド

耳の聞こえない親を持つ聞こえるシオンが考える、コーダのことや手話のこと。

コーダの私が手話通訳者になるまで その2

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2月に市町村主催の「手話奉仕員養成講座」を無事に修了し、次はいよいよ県の主催する「手話通訳養成講座」です!
聴覚障害者情報提供施設へ問い合わせ、申し込みを行い、ようやく「手話通訳養成講座」に通うこととなりました。

手話通訳者養成講座「中級課程」

現在は、「全国手話検定3級、あるいはそれと同等レベルの手話技術」を持っていないと「通訳養成講座」は受講できないと聞いていますが、私のときは手話技術のレベルは求められず、試験や面接等も無く、とりあえず「手話奉仕員養成講座を修了」していれば、受講できました。
(前回の記事でも触れましたが、「手話奉仕員養成講座」を修了するための試験とか無いので、出席率70%以上の人は修了証書がもらえます。本当は手話技術力も求めたいところだとは思うんですけど、「奉仕員」なので……。なんとも微妙。)

2年目 ▶ 「手話通訳者養成講座・中級課程」へ通う!

開講式が5月で、修了式が2月のスケジュールでした。 こちらも70%以上の出席率で修了証書が貰えます。
「奉仕員養成」は毎回1時間半の学習時間でしたが、「通訳養成」は毎回2時間学びます。 夜7時から9時までの2時間。
仕事を終えてからの2時間はたやすいことではありませんでしたが、私は意地で通い続けました。
まずは「手話通訳養成講座」の「中級課程講座」でした(現在は講座の名前と内容が変わっているようです。地域によって講座名が違うと思います)。
「手を動かして手話をするのかな」
と思っていましたが、この1年間は手話はほぼ手を動かすことはなく、講義を受けることが中心でした。
聴覚障害者のこと、耳の構造こと、聴覚障害者の労働問題、ろう運動、手話通訳制度などなど……。
毎週毎週、耳で聞く講義でした。
その時に一緒に学んだメンバーが楽しい人たちばかりで、いまだにそのメンバーとは年3回ペースで会う機会を設けています。
手話を続けているのは、私だけになってしまいましたけど…。

ポイント ▶ 手話を学んでいたら素敵な仲間たちに巡り合えたよ!

そういえば、このメンバーたちは「全国手話検定」をこのときに受験していました。
私は受験しませんでしたが。
なぜかというと私は「全国手話検定」が何の事だか分からなかったのです。
それはもう、全くの無知状態。
「手話の検定試験があるんだー、へー(棒読み)」
その程度でした。

この年度はたまたま受講者が多く、クラスがふたつに分けられていました。
私たちの講座は「H会場講座」です。
月に1度、聴覚障害者情報提供へ行って他の地域の受講生とも一緒に学んだのですが、そちらはここでは「K会場講座」と呼びますね。
その「K会場講座」の方々はなぜかマウントを取ってくる人が多かったなぁと思います。
私たちが田舎者だったからなのでしょうか……。
「私たちの方が優秀なんだから」
と威圧的な雰囲気で、仲良くしてくれる気配は全く無く、「H会場講座」の私たちはおとなしくしているしかありませんでした。
手話を学ぶことは楽しいばかりではないんだと、この時から私は悟りはじめました。
なので、この辺りから「ちょっと嫌だな」と感じる人たちがだんだんと目につくようになりました。

・ろう者が手話をすると、全部声を出して読み上げる人
(黙って心の中だけにしてくれ~~~。私や他の人も手話を見ているんだよー!)
・聞いてもいないのに、手話を教えてくれる人
(ここは手話サークルじゃないのにな。よっぽど私が手話できないように見えたんだな~、きっと。)
・講師に盾突く人
(講師と上手くコミュニケーション取れない人が、ろう者と聴者の間に入って通訳できるようになるのは難しいのでは?)
・何かとおせっかいな人
(いいから放っておいてくれ~~。自分のことは自分でします!大人なので。)

手話を学ぶことよりも、人間のむずかしさと面倒くささを学べた気がします……。
私のときがたまたまそんな感じの人が集まってしまったのか、どうなのか。
個性豊かな方がずいぶん多かった気がします。
どんな人たちと一緒に学ぶかも、モチベーション維持のためには重要かもしれませんが、こればかりはタイミング……。
いろいろな人が手話を学んでいるので、良い社会勉強にはなります。
グループワークも時々行うので、コミュニケーション力も磨かれていきます。

手話通訳者養成講座「上級課程」

ほぼ講義の「中級課程講座」を順調に修了することができ、次は「上級課程講座」です。
「そこへ通えばやっと手話通訳者になる試験が受けられる!」
と意気込んでいたのですが、状況が変わりました。
「上級課程」がさらに、「基本」と「応用」の2つに分かれてしまったのです。
ということは、「あと1年通えば試験が受けられる…!」と思っていたものが、「あと2年通わなければならない」ということになり、そのときのショックは計り知れないものでした。

「追えば追うほど遠くなる……」

3年目 ▶ 「手話通訳者養成講座 上級基本課程」へ通う!

なんの根拠も無かったのですが、私の勝手な見立てで、2~3年くらい勉強すれば手話通訳者になれるだろうと私は思っていました。
なので、この時点でかなりやる気をなくしました。
手話通訳者を目指す気持ちは変わらずありましたが、モチベーションダウンです。
学び始めて3年目だったので、少し疲れも出てきていたのかもしれません。
毎週1回、仕事を終えてから急いで聴覚障害者情報提供施設へ向かう生活でした。
疲れていようと、頭痛がしていても、とにかく頑張って通いました。
夕方の時間帯に車での移動なので、道はいつでも混んでいました。
月に1度は土曜日(あるいは日曜日)に丸一日学ぶ日もありました。

しかしこの年は、私は他の資格試験を受験するために講座をかなり欠席したので、「上級基本課程」講座を修了することができませんでした。

私だけではなく、中級課程までは楽しくやってきた仲間たちもだんだんと講座に来なくなりました。
上級課程ともなってくると、本格的に手話通訳場面を想定した通訳技術を学びます。
「手話をする」ではなくて「手話通訳をする」ための学びなので、楽しさだけでは乗り越えられなくなるのがこの頃だと思います。

この時点で、私は手話を学び始めてから約3年が経ちました。

ポイント ▶ 「上級基本課程」は留年したけどあきらめなかったよ!

この年の講座は修了できませんでしたが、この年度の終わりころに、「小学校でのろう児(難聴児)教育支援」のお仕事のお話をいただきました。

codamind.hatenablog.jp

翌年度4月から私の職場は小学校となり、「通訳養成講座」はもう一度「上級基本課程」を受講することになりました。

次回へつづく。

<この記事は2020年6月に書いたものを編集しています>

codamind.hatenablog.jp