コーダ☆マインド

耳の聞こえない親を持つ聞こえるシオンが考える、コーダのことや手話のこと。

コーダの私が手話通訳者になるまで その4

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手話通訳者養成講座「上級B課程」

手話通訳者養成講座 上級基本課程を修了しました。
次は「上級応用課程」です!
と思いきや、テキストがリニューアルされたり、講座の名称が「上級B課程」と変更されたりしましたが(「応用」はどこ行った!?)、私にとって手話を学び出して5年目になりました。
テキストは「ホップ・ステップ・ジャンプ」のホップです。
DVDが付いた新しいテキストは新鮮でした。

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私はこの年の12月には、手話通訳者試験(統一試験)を受けることを決めていました。
「上級課程B」と並行して「特別講座」というクラスにも入りました。
「特別講座」は手話通訳者試験を受験する人の為の対策講座です。
この頃の講座の内容は、実際にろう講師に対して手話通訳をしたり、映像を見て読み取り通訳をしたりと、実践的なものでした。
テキストが切り替わった年の試験だったため、試験範囲が現在のテキストと以前のテキスト(上級応用課程)と混在していて苦労した記憶があります。
主に重要だったのは、「手話通訳者養成のための講義テキスト」ですね。
試験前に何度も読み返しました。
(2021年に改訂版がでましたので、そちらも合わせておすすめします)

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ポイント ▶ 5年目 講座に通いつつ、試験対策を進める。

手話通訳者全国統一試験

手話通訳者試験は、私の住んでいる県では「手話通訳者全国統一試験」を用いています。
(地域によっては統一試験を用いず、独自の試験を行っているところもあるそうなので、受験する方は調べてみてくださいね)
手話研修センターをリンクしようと思いましたが、ウィキペディアの方が分かりやすいので、こちらをリンクしておきます。

ja.wikipedia.org

私の場合は試験を手話通訳者試験を受けるまでに5年間かかりました。
かかったというか、かけたというか……、じっくり学んだ感はありました。
ようやく試験が受けられると思った私は、「合格したい!」という意気込みもありましたが、「もし落ちても来年また受けよう!」という気持ちでいました。
手話通訳者の試験は1回で合格する人の方が少ないと聞いていたので、「難しい試験なのだろう」という不安と覚悟もありました。

ポイント ▶ 手話通訳者全国統一試験を受験!!

試験は小論文の事前提出もあり、これに苦労した記憶があります。
時間をかけ、丁寧に小論文を書き上げました(たしか800字だったような……)。
試験には面接もあります。
この小論文の内容をもとに面接官から質問されます。
そのときの様子は、今でもはっきり覚えています。

  • 小論文の事前提出
  • 筆記試験
  • 要約試験(手話の映像を見て300字ほどの要約文を書きます)
  • 場面通訳(映像を見ながら、手話⇒声・声⇒手話の場面通訳を行います)
  • 面接

筆記試験・要約試験・場面通訳・面接は、1日かけて行われました。
※要約試験が2020年から無くなりました…。この試験が肝だったのに……!

ちなみに手話通訳士試験とは試験の内容や質が異なります。
(士試験についてもいつか書こうかな、どうしようかな、と考え中……。)
12月に手話通訳者試験が行われ、3月に合格発表です。
合格しました。
その年は10名程受験しましたが、合格者は私1名でした。
合格率(例年10%ほど)はもちろん知ってはいたのですが、本当なのだとそのとき実感しました。
やはり狭き門なのかもしれません。
同期で一緒に勉強してきた人たちは何十人もいたのですが、実際に手話通訳者になれる人はほんの一握りなのだということを、身をもって知りました。
何度も挑戦して、諦めてしまう人がいるのもまた現実です。

 ポイント ▶ 5年目にして手話通訳者試験に合格できた!

5年と言う期間が早いか遅いかは、いろいろな考え方があるので一概には言えませんが、手話を習得するためには相当な時間がかかるということは確かです。
そして、手話通訳技術となるとさらに時間を要します。
「手話」と「日本語」を操り、対人援助技術も必要になるので、とても希少な専門スキルなのだと改めて思います。
合格証書を3月に受け取り、実際に手話通訳者として登録したのは4月からとなりました。
ですが、試験を受けることよりも、実際に通訳者になってからの方が何倍も大変だということが後に分かったのですが、「手話通訳者になる!」と決めていた私は5年かけて、とにもかくにも手話通訳者になることができました。

 ポイント ▶ 5年目「上級B(応用)課程」に通って修了証書をもらう!

ところで、試験のあとも手話通訳養成講座は2月まで行われます。
「試験が終わってしまうとみんな講座に来なくなる」
と聞いていた私は、試験が終わっても講座には毎週通い続けました。
手話通訳者になることは私にとって「目標」ではありましたが、「目的」ではなかったからです。
手話を学べる機会は大切にしようと考えていましたし、手話を学べる時間を幸せに感じていました。
それから、講師のろう者や手話通訳者の方々、講座を運営してくださっている聴覚障害者情報提供施設の方々も苦労してくださっているのが伝わってきていました。
受講する側も大変ですが、講座を開催し、指導する側も大変なのだろうな、と常々感じていました。
子ども相手に指導するわけではなく、幅広い年代のいろいろな方に対応してくださっています。
本当に感謝しかありません。

ポイント ▶ 学ぶ機会を大切にする。

ここまで書いてきましたが、手話通訳者になるために重要だと感じたことがまだありますので、次回お話しますね。

つづく。

<この記事は2020年6月に書いたものを編集しています>

codamind.hatenablog.jp