コーダ☆マインド

耳の聞こえない親を持つ聞こえるシオンが考える、コーダのことや手話のこと。

コーダってなんだろう

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Children of Deaf Adults

コーダとは、耳の聞こえない親をもつ聞こえる人のことです。
(両親ともに、あるいは父か母のどちらかが耳が聞こえない)
「耳が聞こえているんだから何の問題もないだろう」と思われがちなコーダ。
聴覚障害を持たないコーダは、果たして本当に「何の問題もない」のでしょうか。

コーダはことば文化障害の狭間で揺れ動いてる存在です。
※なお、コーダによって家庭環境などが違いますので、コーダ全員がこれに当てはまるというわけではありません。

ことば ~手話と日本語~

親が「手話」を使う場合、コーダは手話と日本語という異なる言語の中で育っていきます。
しかし、手話は「みっともない」「手まね」とさげすまれてきた時代がありました。
ろう者だけではなく、聞こえない親と一緒に生きてきたコーダも、少なからずその影響を受けています。
聞こえない親と話すために、コーダにとっても手話は大切な言語です。
しかし、時代や環境は家庭によって様々で、手話が苦手なコーダは大勢います。
また、音声で親との会話ができないことは、コーダが子どもの頃から受け入れなければならない現実です。
聞こえない親は自分の子どもの声が聞こえません。
聞こえないがゆえに、親子での会話が成り立たないのです。
音を共有できず、ことばを共有しにくい親子関係なのですが、その大変さは外部からは非常に分かりにくいです。
日本語を話す人がほとんどの日本というこの国で、親子で異なる言語を話すということは、理解されにくい現状です。

・親子で会話が成立しない
・親子で異なる言語を話していることをまわりに理解されにくい

これらがコーダの心をつらくします。
コーダ自身もそのことを言語化することが非常に難しいのです。

文化 ~ろう文化と聴文化~

コーダはふたつの文化の中で育ち、生きています。
一般社会からはほとんど知られていない「ろう文化」。
聞こえない人たちの世界を「ろう文化」と呼ぶことがあります。
音の聞こえない世界で生きる人たちの考え方や行動の仕方など、聞こえる人とは違う文化です。
コーダは「ろう文化」と「聴文化」のちがいに戸惑うことがあります。
しかし、親は聞こえないので「聴文化」については知らない、あるいは知る術が無いため、コーダは親から聴文化を教わることが困難な場合があります。
例えば「音マナー」など。
食事の際の咀嚼音は、コーダは親以外の人から注意されることが多いみたいです。
それから、コーダの鼻声・かすれ声・声変わり・鼻をすする音・元気のない声などは、聞こえない親には聞くことができません。
親に気がついて欲しいのに、それは無理であることをコーダは悟っていきます。

障害 ~聴覚障害を「障害」ととらえるか否か~

社会の中ではコーダの親は「聴覚障害者」。
確かに耳は聞こえません。
親が障害者手帳を持っていることも当然知っています。
ですが、例えばろう者だけが集まる場所では、聞こえないことは障害なのでしょうか?
手話で生き生きと話し、コミュニケーションを楽しむ親の姿をコーダは見て育っています。
聞こえる人と交わる時、聞こえる世界と交わる時に、障害が発生するということをコーダは自身の経験から知っています。

親の障害を受け入れる

まわりから「障害者の子ども」と見られること

  • 「かわいそう」「大変だね」
  • 「あなたががんばらなきゃね」
  • 「障害者の子どもだから」
  • 「聞こえない親を支えてあげるのよ」

聞こえる人たちから言われる様々なことばで、コーダは複雑な想いを抱いています。

  • 「私はかわいそうなの?」
  • 「がんばるって何をがんばるの?」
  • 「私の成績が悪ければ、親が障害者だからって言われるんだ!」
  • 「親は聞こえないだけで何でもできるのに、一体何を支えるの?」

聞こえる親をもつ聞こえる人だって、親子関係はいろいろですよね。
コーダも同じです。
そこに「聞こえない壁」がいつでも立ちふさがるのです。
さらに、世の中からの価値観を押し付けられてしまう場合が多いのです。

聞こえないという見えない壁

「自分自身が聞こえないという障害を持つ親」

「親の障害を受け入れなければならない聞こえるコーダ」

自分自身の障害ではなく、親の前に立ちふさがる「聞こえないという見えない壁」と共にコーダは生きているのです。

コーダは聞こえない人の子どもです

コーダは聞こえない親に育てられていますので、聞こえない人と同じような考え方やしぐさをすることがあります。
けれど、コーダは耳が聞こえています。
親は「聞こえない世界」を、コーダは「聞こえる世界」を生きています。
聞こえない親から生まれた聞こえるコーダ、親子で違うアイデンティティを持っています。

コーダには「コーダの世界」も存在すると私は考えています。

このブログ「コーダ☆マインド」では、わたくしシオンが考えるコーダのことを、自由に書き綴っています。

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