コーダ☆マインド

耳の聞こえない親を持つ聞こえるシオンが考える、コーダのことや手話のこと。

コーダの私が手話通訳者になるまで その5

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ここまで4回にわたり、私が手話通訳者になるまでの過程を書いてきました。
もう少し、手話通訳者試験に合格できた理由に関係のあるポイントをいくつか紹介します。
友人からコメントをいただいて、大切なことを思い出しました。いつもありがとう!

手話通訳者に合格するまでの重要ポイント

家族の理解と協力

週1回、夜に2時間、講座に通って学びます。
毎週です。
そのためには、やはり家族の理解と協力が必要になります。
子育て中の方や、家族の介護がある方は講座になかなか参加しにくい状況です。
地域によっては日中の講座も開かれているかもしれません。
自分に合った講座が受講できることが理想ですが、学びたいと思っても現実的には難しい方が大勢いるのだと思います。
せっかく講座に通うことができても、試験当日に家族が体調を崩したり、家庭で何か緊急の用事ができてしまったりして、受験することができないというケースもあります。
私は実際にそういう人を見てきました。
スムーズに試験が受けられることは、幸せなことなのだと思いました。

仕事をしながらの学び

仕事の都合も大きく関係してきます。
夜お仕事をされている方が講座に通うのは難しいでしょうし、土日も講座が開かれますので土日にお仕事がある方も厳しいところです。
こう考えてみると、「講座に通って学ぶ」ことができる人は、意外と限定されてきてしまうのかもしれません。
特に夜の講座は、仕事をこなしてから2時間集中して勉強することになるので、体力と精神力が必要になってきます。
手話通訳者もそうですが、手話学習者も体力勝負なところが大きいですね。
予習や復習も大切です。
ただ2時間出席していれば技術や知識が身に付くというものではありません。
年間出席率70%以上で修了証書はもらえますが、手話通訳者試験は技術と知識が身に付いていないと合格できません。

講座の開催場所

それから講座が開催される場所も重要です。
私は車で片道30分、渋滞しているときは片道1時間かかりましたが、通い続けました。
私はまだ良い方で、中には峠を越えて片道1時間以上かけて通う人もいます。
この場合は往復2時間以上かけるわけです。
講座が始まるのは7時なので夕方渋滞の中を移動し、終了が9時なので帰宅するころには10時を過ぎてしまう人もいるということになります。
あるときなど、道が渋滞しすぎていてとても会場までたどり着けそうになく、途中まで行ったにも関わらず、断念して欠席したこともあります。
出席率70%以上を目指し、ときにはお休みもしつつ、通い続ける必要があります。
手話通訳者を目指している人は、時間と労力をかけて必死に学び続けるわけです。
どれだけ苦労して学んでいるか、特にろう者には知ってほしいところです。

手話のことを聞ける・話せる人の存在

手話を学ぶことで友人が増えていき、ろう者の友人もできました。
「全通研」の仲間とは気兼ねなく、いろんな話ができました。
(「全通研」については別の記事に詳しく書きました。)
コーダの友人たちも信じられないくらいに増え、くだらない話でも真面目な話でも、手話を交えながらたくさんする機会が増えました。
こういった人たちの存在が私を成長させてくれました。

前向きに頑張る

手話通訳者資格試験は、他の資格試験と比べて質が違うと感じました。
他の資格試験のように、問題集をやったりテキストを読み込むだけというわけにはいきません。
精神的な面の話をすると、ちょっとやそっとのことでくじけない、揺るがない気持ちも必要かもしれません。
講座では自分なりに精一杯やった手話を、ダメ出しされる 直していただけるわけです(笑)。
「こんなに自分はできないのか!」と落ち込んでいる暇はありません。
打たれ強さと図々しさはある程度必要かと(苦笑)。
私も何度も落ち込んだりへこんだりしましたが、前へ前へと進んできました。

バランス感覚

遠慮し過ぎてもダメですし、目立ち過ぎてもダメです。
バランス感覚もある程度は必要ですね。
受講生や講師とコミュニケーションを取ることも必要です。
自分の置かれている状況に応じての行動が大切です。

調整力

あとは、自分が今どういう状況なのか、何ができていて何ができていないのか。
目標を達成するために今の自分に何が必要なのか、自分で自分を調整する力が常に必要です。
ただ講座に通い続ければ手話通訳者になれるというわけではありません。

健康管理

なにをするにも必要なのが健康です。
健康第一!
体力と精神力も重要です。

私が手話通訳者試験に合格できた理由に関係のあるポイントがもう少しあるので、それはまた次の記事で紹介しますね。

<この記事は2020年6月に書いたものを編集しています>

codamind.hatenablog.jp