コーダ☆マインド

耳の聞こえない親を持つ聞こえるシオンが考える、コーダのことや手話のこと。

家庭訪問はコーダが通訳するの?

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私は自分のことの通訳を自分でした経験が何度もあります。
今ほど手話通訳制度がしっかりしていなかった頃。
スマホはもちろん携帯電話すら無い時代でした。
聞こえない人の生活にファックスが入り込んできた頃の出来事です。

私が中学生の時の家庭訪問。
『あれ?今日、家庭訪問だ。先生家に来るんだった』
と考えつつ、先生に一応聞いてみました。
「先生!誰がうちのお母さんに通訳してくれるんですか?」
「そりゃ、お前がするに決まっているだろう。」
「ええっ!」
そう、私が手話通訳したのです。
『あれれ?こういう時って、子どもが親に通訳するもんだっけ?』
手話通訳者に来てもらう方法など中学生の私が知るわけもなく、結局私が母に通訳をしました。

小学4年生(5年だったか?)の時の家庭訪問もよく覚えています。
先生が学校での私の様子を母に説明しました。
「学校/大丈夫」の手話で、先生の話の通訳を乗り切った私。
次に先生が、「家で困っていることはありませんか?」と母に聞きました。
待ってましたとばかりに話し始める母。
「宿題を9時過ぎてからやるんです!遅いですよね!!困ります。」
『ええーー!!それ、私が先生に通訳するの!?』
と思いつつ、しぶしぶ音声日本語で先生に伝えました。
「宿題をやらない訳ではないし、自分のタイミングでやっているのだから良いのでは?」
と先生は言ってくれました。
『ナイス!先生!!』
と、心の中でガッツポーズしながら、私は母に手話で伝えました。

なんでしょうこれは、コントでしょうか?
いえ、現実でした。

聴覚障害者を親に持つ私のことを、先生はどう見ていたのでしょうか。
苦い思い出です。

令和の時代に、自分のことの通訳を自分でするコーダがいないことを願っていますが、果たしてどうなのでしょうか。

<この記事は2020年1月にnoteに書いたものを編集しています>