コーダ☆マインド

耳の聞こえない親を持つ聞こえるシオンが考える、コーダのことや手話のこと。

【ろう児教育支援10】「しゃべった!!」

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地域の公立小学校(ろう学校ではありません)にて6年間、耳の聞こえない児童ふたり(ソラとリク)に手話を使って支援をしてきたコーダの私(シオン)が感じたことや考えていたことなどを書いています。大勢の聞こえる子どもたちと一緒に過ごした日々を少しづつ紹介。聞こえない世界と聞こえる世界の狭間から見えていた様子を、少しでも感じ取っていただけたら幸いです。

手話通訳者は音声を手話にし、手話を音声にして伝えます。
ろう児であるソラとリクは、小学校の中では自分の声で話すことをしていました。
なので、私の仕事はもっぱらソラとリクに手話を表出して見せることばかりが中心で、ふたりの手話を私が音声で伝えるということは全くと言っていいほどありませんでした。
(彼らの発音が不明瞭で伝わらなかったときのみ通訳を音声で通訳をしていました)
とにもかくにも、毎日手話ばかりしていた私です。

ある日、全校行事で他の学年の子どもたちと一緒に活動中のとき、声を出してしゃべる私を見て驚いた子が私に向かって言い放ったのです。

「しゃべった!!!!」

即座に、

「しゃべるわ!!(笑)」

と言い返してやりましたが。

低学年の女の子でした。
私はまさかそんなことを言われるとは思ってもいなかったので驚きました。
まわりにはその様子をニヤニヤされながら見られていたのもよく覚えています。
非常に面白い場面でした。
手話ばかりしているので、私は音声で喋らない人だと思い込まれていたようす。
私も耳が聞こえないと思われていたのでしょうか?
そもそも聞こえなかったら手話通訳はできないのですが……。
まったくもって、心外です。

だから子どもは可愛くて面白い。